フュージョンテクノロジー公式blog

3Dプリンターの最高峰ブランド「L-DEVOシリーズ」を筆頭に「Form2」「FUNMATシリーズ」を販売しております。3Dプリンターユーザー様に役立つ(?)情報をご案内します!

タグ:3D印刷

2回目のテーマは「樹脂の定着方法あれこれ」をご案内致します。

Dプリンターでの印刷を行う上で大きな問題の一つに「樹脂の定着」が挙げられます。これが上手く行かないと印刷中に定着面が剥がれ、反りかえり、酷いときにはノズルに樹脂が固着して・・なんて経験をされた方も多いと思います。そこで今回、樹脂定着に影響する要素を「カテゴリー」ごとに説明していきます。今後の3D印刷のヒントになれば幸いです。

 

「速度」

弊社以外のメーカー様でも各種スライサーを提供されています。そのため名称が同じではない可能性もございますが、ここでは弊社販売中「L-DEVO」シリーズのスライサー「Cura」を基準にご案内致します。

 

樹脂の定着という点で一番影響がでる設定値、それは「速度」、特に「底面印刷速度」になります。

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Cura」の場合、「アドバンスド」→「底面印刷速度」で設定可能で、デフォルトスピードから落とすことで速度が落ち、樹脂の定着は強まります。(イメージとしては墨を含んだ筆の速度が速いと墨が紙に乗らず掠れます。ゆっくりだと墨がたっぷりと紙に定着します)この設定ができないスライサーの場合、全体の速度を司る「印刷速度」や「印刷品質」などになるでしょうか?L-DEVOシリーズでは印刷中に本体側で速度操作できるため、そちらで全体スピードを落として定着を安定させる事も可能です。(もちろんレベル調整も必須ですが・・)

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「温度」

これは「テーブル温度」もそうですが「庫内温度」が大きなポイントになります。

「熱収縮」が大きい樹脂の場合、ノズルから出た瞬間から冷却し始めます。ABS等はノズルが240℃前後、テーブルが120℃前後の設定が多いですが、ここだけでも120℃の温度差があります。さらにそれらを包み込んでいる空間、「庫内(チャンバー)」温度は通常20℃前後かと思われます。この温度差が樹脂の「収縮」を生み、「反り」や「割れ」などを引き起こします。弊社マニュアルではABS等の場合、庫内をカバーなどで密封した上で「予熱を最低でも1時間」とご案内しております。これにより温まりにくいホッドベッドを適温にすることはもちろん、庫内温度が30℃~40℃弱に温まり、樹脂定着を安定させる事ができます。まさに「急がば回れ」というべきでしょうか?

 

「定着資材」

弊社では主に2種類の定着シートをご案内しております。

1つは「ブルーテープ」です。

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いわゆるマスキングテープでコスト的に安く、破れても貼り直すことで何度も使用できます。弱点としては定着力が弱いため、主にPLAなど収縮の少ない材料にしか使えない点が挙げられます。

2つ目は「BuildTAK」です。

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こちらは樹脂シートで裏面のり面を、セルボードやガラスボードに貼り付け使用します。定着力が強く、どんな材料でも使用可能なため、お勧めしておりますが、造形物を剥がす際に定着しすぎて「BuildTAK」が破けたりと、コストパフォーマンスが悪い点が弱点になります。また定着しすぎて大きい造形物が外しづらい点もあります。

 

そこで弊社では別の方法を模索しました。コストも低く、定着も強い定着方法。

「カプトンテープ」+「スティックのり」という定着方法です。

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以前から知られていた方法でしたが、カプトンテープの貼りずらさから、弊社では簡単な「BuildTAK」をご案内しておりました。しかし最近、弊社でも大型造形物を作る機会が増え、この方法を改めて見直すと、非常に便利だと再発見したのです。

 

まずはコストの点ですが、弊社では今後260㎜×30000㎜(30m)5,000円で販売予定です。M4040TPでの使用を想定、造形プレート全面(420×420㎜)に貼り込む場合、2枚貼りとして単純計算で35回使用(30000÷840)が可能です。1回あたり単価は@148円になります。「スティックのり」も使用しますが、一般的な文具なので200円程度、10回以上は使えます。

 

定着については「カプトンテープ」の上に「スティックのり」を塗って乾燥させ、その上に通常通り印刷を行います。この方法はPLA・ABSなど何にでも使用できるため非常に便利です。

弊社では「BuildTAK」の上にのりを塗って、定着力を強化する方法なども行っていますが、PCに関しては定着が強くなりすぎ、剥がす際BuildTAK毎持ってかれてしまうので注意が必要です。

因みに「スティックのり」は画像の物使用していますが、主成分に「PVP」とあれば若干の個体差はあれど問題無く使えます。

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カプトンテープ+スティックのりの場合、剥がす際もかなり楽です。

印刷完了したら水道水にさらして3-4時間ほど置けば、のり面がふやけて外しやすくなります。最悪カプトンテープ毎破けて外れる場合もありますが、BuildTAK程高価ではないのであまり気にせず剥がすことが可能です。特に「大型造形物」をメインに造形される方には、剥がす苦労が軽減されてお勧めの方法です。

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ちなみにガラスに直接「スティックのり」を塗る方法もありますが、材料によってはガラス面に喰いつき剥離、ガラスを割ってしまう事もあるため、必ず「カプトンテープ」を貼ってから使用してください。

 

いかがでしたでしょうか?地味なようで意外と重要な要素である「定着方法あれこれ」

今後も新しい方法が見つかれば、このコラムでご案内させていただきます。ご期待ください。

 

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

記念すべき第1回目のテーマは新素材「ASA」をご案内致します。

Dプリンターユーザーとしてよく使う材料の双璧に「ABS」と「PLA」があります。スタンダードな材料として黎明期から使われ続けた材料なのですが、大きな弱点がありました。それは両方共「耐候性が弱い」、特に「紫外線(UV)に弱い」という点です。

 

ABS」「PLA」共に紫外線(UV)が長期間当たると、変色、表面の荒れ、機械性的性質の劣化が発生します。

弊社でもABSの造形物を、日の当たる窓際に展示して置いたところ、日が当たっていた半分だけ黄変していたことがあります。


黄変例


屋外で使用する場合、更に「耐水性」「耐熱性」等も問われてきます。(これをまとめて耐候性言います)

 

そこで開発された樹脂が「ASA」になります。このASAはABS(アクリロニトル・ブタジエン・スチレン)から「B(ブタジエン)」を除き、「A(アクリレート)」を用いた樹脂で、基本特性はほぼABS樹脂と似ているのですが、「B(ブタジエン)」を抜いた為、耐候性(耐UV・耐水・耐熱)が大幅に向上しています。


ではなぜ「
B(ブタジエン)」を抜くと耐候性が良くなるのでしょうか?実は、ブタジエンの正式名称は「ブタジエンゴム」なのです。ゴムは一般的に紫外線
(UV)に弱い材料の一つなのです。

 

弊社でもL-DEVOで使用可能なフィラメント「PolyLite ASA」をご案内予定ですが、このフィラメントは3Dプリンターで使いやすく調整しております。
耐UV性の他にも...

 ①通常のASAより靭性がより強い (強度に優れる)

 ②水・湿度などによる変性を抑えている (耐水性)

 ③吐出の際の流動性がよく、出力しやすい。そのため綺麗な表面品質を得る 
(ノズル詰まりしにくい)

 ④層間接着性に優れ、造形物のZ軸の強度はより強い 


また、ビカット軟化温度は
105℃で「ABSよりも耐熱に優れている」点もポイントになります。


弊社 L-DEVO F300TPでも造形してみました。

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表面はマットな感じで、サポート部分は樹脂というより石膏をイメージさせる感じの風合いです。触ってみると靭性もある感じで強度的にも問題なさそうです。
現在屋外にて耐候性のテストも行っております。(結果は後日発表します)


余談ですが、中国ではこの材料を使用して公園の「橋」そのものを大型3Dプリンターで造形して使用しています!これも耐候性の良い「ASA」のなせる業でしょうか?

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いかがでしたでしょうか?FDM式の3Dプリンターでは「ASA」のような新しい材料が増え続けています。今後もこのコラムでご案内させていただきますのでご期待ください。

 

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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